野菜はじっくり焼くことで、素材の持ち味が引き出され、凝縮したうま味を楽しむことができます。最年少野菜ソムリエプロとして活躍する緒方湊くんに、焼いておいしい旬の野菜と上手な焼き方を教えてもらいました!
夏に採れるのに旬は冬??
カボチャは、12月の冬至に食べられるイメージが強いことから、冬の野菜と思われがちですが、8~9月に収穫されている“夏野菜”でもあります。
ところが、収穫されたばかりのカボチャは、水分とでんぷん質が多く甘みも少ないので、1~2か月熟成(でんぷん質が糖化され甘みが増します)させてから出荷するため、10~12月頃に市場にたくさん出回ります。野菜は“採れたてがおいしい!”とは、限らないんですよね!
昔は野菜の保存が難しく冬に食べる野菜が減ることから、栄養価が高く長期貯蔵が可能なカボチャは重宝されていました。冬至にカボチャを食べる風習には、“冬を元気に乗り切ろう”という先人たちの想いが込められています。
しっとり感と甘みを楽しむならホイル包み焼き
カボチャをオーブンなどでそのまま焼くと、断面から水分が蒸発して硬くなってしまいますが、ホイル包み焼きなら、水分が逃げにくいので硬くならず、しっとりとした食感に仕上げることができます。
また、カボチャに含まれるでんぷん質を糖化する酵素は、約60度で活性化するので、低温でゆっくり加熱することで甘さがたくさん引き出されます。ホイルで包んだカボチャは、じっくり加熱されていくので酵素が長時間働き、甘みが強くなります。
ちなみに、電子レンジでは、急速に加熱されるので甘みが増えづらく、茹でる場合は、栄養とうま味が流出してしまいます。
[基本のカボチャホイル包み焼きの作り方]
①3~5mm幅の薄切りにする。
②アルミホイルの上にカボチャが重ならないように並べる。
※表面には何も塗らなくてもOKですが、オリーブオイルを塗ると水分が抜けにくくなりよりしっとりします。
③オーブンまたはトースターで7~10分焼く
※加熱時間はカボチャの厚さや量によって変わります。
ちなみに、カボチャは硬くて切りづらいですが、レンジで少し加熱するとやわらかくなり、切りやすくなりますよ。皮と実の間に栄養があるので、皮もできるだけ食べましょう。
◇湊くんおすすめの食べ方◇
小さいサイズの「坊ちゃんカボチャ」を電子レンジで2分程度加熱して上部をカットしてフタを作り、中をくり抜き、ピザ用チーズやモッツアレラ、カマンベールなどのチーズを一緒に包んで、トロトロに溶けたチーズとカボチャを絡めて食べるのがおすすめです。
ワタと種が詰まったものがおいしい!
完熟してから収穫されたカボチャは、種とワタがしっかり詰まっていますので、カットされたカボチャを選ぶ際は、種とワタの詰まり具合をよく見て選んでください。
また、カットされたものは、ワタの部分から傷み始めるので、購入後はスプーンでかき出し、ラップでぴったり包んで冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
地域の特産かぼちゃを探してみよう!
日本各地には伝統野菜として受け継がれている品種も多くありますが、中でも僕のお気に入りは福島県の「奥会津金山赤カボチャ」です。
お尻の部分がぽこっと出っ張っているのが特徴で、出荷前には一つ一つの糖度をチェックし、基準をクリアしたもののみに品質保証のシールが貼られます。保証付きの濃厚な甘みはもちろん、ホクホク食感が楽しめます。
特産品のカボチャは、味がしっかりしたものや形や色が面白いものが多いので、皆さんも特産品のかぼちゃを見つけたら、観察したりホイル包み焼きで楽しんでみてくださいね。